演奏明けに BGM で流れるこのアルバムの多分 Caravan(だったと思う)の、あまりの緊張感に惹き付けられてしまったのです。
マスターに
「このアルバム、誰ですか?」
と聞くと、タイトルのお返事が返って来たと云う訳です。
それから何年経ったでせう?
よーやく全貌を聴く事が出来ましたが、いや〜、やっぱり、当時の印象は間違ってませんでした。 おっそろしぃ〜内容です!
先に一言断っておきますが、実は Gonzalo はんのアルバム正直そないに聴いた事ないんです。
多分彼名義のアルバムは持ってないですし、思い当たるのは Charlie Haden のモントリオールテープシリーズで1枚持ってるくらいですが、それも大分経つのであまり中身を覚えてません。
でも、彼が上手くてテクニックも凄いのは重々承知してますし、キューバから鳴り物入りの登場だったってのも覚えてます。ですが、私の場合当時のマスコミにのせられる事なく今日まで来たよーでして。
それでもインパクトある名前のフォーだけはちゃんと覚えているにも関わらず、何かにつけ「ゴンサロ・"バンバンビガロ" 」とか、もしくは原型もなく「クラッシャー・バンバンビガロ」とか、全く当人同士は無関係であろー往年のプロレスラーの名前を、若干の発音上のニュアンスと笑いのためだけに自分の周りで口にしていたと云う、アホな状況の記憶のフォーが先に出てくる、そんな具合でして。(苦笑)
ほんと、コアなファンの方には申し訳ないです。
ではサイドマン、まずはベースの Brian Bromberg 。
この方が、あちこちで相当なテクニシャンと謂われてるのは知ってまして、多分その通りなんでせうが、これまたちゃんと聴いた事がないのです。
ちゃんと聴きもせず偏見を持つののはどーか?と思うのですが、全くベースのプレイとは関係ないこの方の一連のアルバムのオビに書かれてます「低音」ってロゴっちゅうか文字に、聴く前からヒイちゃいまして・・・
まぁ、発売元キングさんですし、演歌な路線の影響・・・ が出てるのかどーか知りませんが・・・
「"低音" "低音" って、家電売り場のラジカセか!?」
と。
ほんと間違いなく単なる偏見ですんで、これを機にその点を改めたいと思います。
そして、Dennis Chambers 。
云わずもがな、ものごっつい!です。
昔友人所有のこの方の教則ビデオを見たんですが、正直初心者が見よーものなら瞬間にその方のドラマーへの夢は崩壊させらるであろー恐ろしい映像でした・・・ ほんま、手の動き見えましぇんもん・・・(泣)
そーいえば数年前、タワーのジャズコーナーでご本人を見かけた事もあります。確かマイク・スターンのブルーノートツアーで来てた時期だったと思われます。身長はさほどでもなかったですが、腕まわりや胸板の厚いこと・・・ 現物を見てその演奏にますます納得させられましたです・・・
ところで、この方がジャズを・・・ ってな印象は、もともとフュージョン畑な人やったと思いますし薄かったんですが、それでも初めてジャズをやってるのを聴いた Gary Thomas(古ぅ〜〜〜!) の「While The Gate Is Open」(1991:これまた、古ぅ〜〜〜!)の1曲目「Strode Rode」が、ジャズ喫茶かどっかでかかった時、たちまち自分の身体が動き出すのを抑えられなくなった事を思い出します。
当時のプレイ自体は何となく鋭角でぎこちない感じはありましたが、Gary Thomas とのスリリングな演奏を思い出すと、今こう書いてる間にも CD を引っぱり出して来て聴きたくなるほどです。
で、今回のタイトルのアルバムはその6年後1997年です。
いやぁ〜、偉そうな云い方になってしまいますが、さすがに見違えるよーに Jazz しはってます。
この云い方は適切ではないかもですが、トニーが重戦車を残したまま柔軟さも併せ持った、そんな感じに近いでせうか!?
昔の鋭角プレイも好きですが、ここでのプレイもスバらしいです!
さぁ〜、長くなって来ましたんで、ここらで中身のフォーへ。
曲は、
Maiden Voyage
Caravan
On Green Dolphin Street
Hot House
Yesterdays
Woodyn' You
Manha De Carnaval (Black Orpheus)
と、どれもジャズを齧ってればご存知な名曲。
ところが、テーマの崩し方なんかは一頃のチックさんとこ(パティトゥッチ、ウェックルで復活した頃)みたく、よく聴いておかないとテーマのメロを見失う感じです。
ですが、チックさんみたいな気がするのはそこだけで、曲が始まると只管バンバンビガ・・・ いや Rubalcaba はんの独壇場です。
そのソロは Bromberg と Chambers がガッチリ支えるバックの上を、突っ込んだり、つんのめったり、飛び跳ねたり、まとわりついたり、とにかく縦横無尽に自由です。
それにしても、なんちゅうリズム感でせう・・・ 恐ろしいす・・・
その上、楽典を知り尽くしたコードやメロのアプローチは、聴いてる側をほとほと感心させます。
まぁ、こー云う感想を私が持つのも、どの曲もすぐ歌えるくらいよく知ってるから、ってのはあると思います。
ネットでこのアルバムについての記事を見かける中には、きっちりテーマもやってくれないし、始まってしまうと一体感よりも緊張感のフォーが勝ち過ぎて、どーもトータルな流れで情感に訴えるよーな演奏ではないせいか、所謂オーソドックスなピアノトリオを期待して聴いていると何やら判らん内に終わってしまい、あまり好印象を得ない方もおられるよーです。
それでも曲中の演奏は凄いので
「なんか判らんけど、スゴイ・・・」
とはなるよーですが・・・(苦笑)
後、「3人のインタープレイがスゴイ・・・」みたいな投稿も見かけましたが、バックの2人は、バンバンビガ・・・ いや Rubalcaba はんのソロの間は、多少大袈裟かもですがとにかくソロに吊られんよーに必死でリズムキープしてるよーに聴こえます。
とはいえ、しっかりキープ出来てるところを見ると、当たり前ですが確りお互いを聴いて演奏しているのでせう。ただバンバンビガ・・・ いや Rubalcaba はんのソロがバックがインタープレイしよーにも想像つかんフォー向へどんどん展開していくので仕方なくキープに専念しているのかもですね・・・
と、偉そうな事云うてますが、私なんぞ聴いてるだけですがロスト、ロストで・・・ どーにも、こーにも、ねぇ(泣)
それ以外のベース・ドラム各々のソロのところは、バンバンビガ・・・ いや Rubalcaba はんに負けず劣らずスバらしいです。
ただピアノソロの時の演奏がブチ切れてるので、ピアノが顔を出すとたちまち立場逆転って感じになっちゃうよーで。
しかし厳ついリズム隊とかと共演した過去のピアノトリオのアルバムなど、往々にしてピアニストがあっち振られこっち振られするケースが多い中、バンバンビガ・・・ いや Rubalcaba はんの本アルバムは、"低音" って CD のオビに書かれるくらいなスゴ腕ベースや、ド迫力でこれまたスゴテクで有名なドラムと、がっぷり組んでっちゅうか、全編彼らを上回る存在感を出しまくっていて、ほんまスンゴイです!
で、こー書くとただの色モンの格闘技みたいな気がする諸兄姉様方もお有りかもですが、いやいや内容イイんです!
テーマの崩し方、楽しんでください。
全編に渡る3人のスリリングな緊張感を、アップ〜ミッドまで存分に楽しんでください。
そして、最後に「Black Orpheus」で、それまでの全てを洗い流してください。
でも、ここでも Dennis Chambers のみキープ役で、ちょっと可哀相なよーな・・・
いっその事最後の1曲くらい、3人でリズムを超越したよーな演奏をしても良かったのでは・・・(笑)