さて、
昨年読んだ本を今回も何となぁ〜く "恥ずかしさ" を感じながら見てみたいと思います。
相変わらずの "ミステリ病" ですが、京極さんは一段落して、今度は今野さんにハマりまくり(まクリスティ・・・)すね。
まぁ、早速並べてみませう!
○今昔続百鬼 雲 京極夏彦
○日本語相談 大野晋
○百器徒然袋 風 京極夏彦
○二度のお別れ 黒川博行
○天井男の奇想 折原一
○後巷説百物語 京極夏彦
○暗殺の年輪 藤沢周平
○封印 黒川博行
○北天の星(上・下) 吉村昭
○覘き小平次 京極夏彦
○神南署 安積班 今野敏
○二重標的 今野敏
○虚構の殺人者 今野敏
○硝子の殺人者 今野敏
○蓬莱 今野敏
○イコン 今野敏
○警視庁 神南署 今野敏
○残照 今野敏
○陽炎 今野敏
○最前線 今野敏
○リオ 今野敏
○朱夏 今野敏
○隠蔽捜査 今野敏
○ビート 今野敏
○大博打 黒川博行 (敬称略)
計26冊。
遅読の私にしては、なかなかの健闘です。
それもこれも今野さんの「安積警部補シリーズ」や「樋口顕シリーズ」や「竜崎伸也シリーズ」にホルマリン漬けのごとく浸かってしまったせい?(おかげ)です。
安積シリーズは、07年に読んだ「ミステリー傑作選40 日本推理作家教会」に短編が収録されていて、それ以来機会があれば読もうと思っていた想いが、08年に一気に爆発!って感じで、奇しくも「二重標的」「虚構の殺人者」「硝子の殺人者」などが丁度再発された事もあり「最前線」まで一挙に行ってしまったのです。
そこまでハマれば、後は自然と一連の作品へと向かう流れを止められるはずもなく・・・でして。
今野さんのこれら一連のシリーズはいづれも警察を舞台にしており、それぞれ主人公の階級は異なりまずが、各々の立場や部下、家族、また巻き起こる事件で出会う人々との関係などに、正面から向き合う真摯な姿勢がどの主人公も潔く、読むものを共感させます。
ただ所謂往年の "ミステリと云えば謎解き" をメインにした構図を期待して読むと、今の時代ミステリの枠も広くなって来てますので肩透かしをくらう方もあるかもです。
ですが、単純に事件の謎を解く楽しみだけでなく、そこに描かれる人間ドラマの深さも味わえる2倍の楽しみを持つと捉えれば得した気分になるのでは、と思います。
そしてそれらのストーリーを紡ぐ、余分なものを一切削ぎ落し無駄を感じさせない文章には、魅せられるばかりです。
ザッと振り返って、印象に残ってる作品をいくつか見てみませう。
「後巷説百物語 京極夏彦」
明治を舞台に一白翁と名乗る百介が話を紡ぐ形式で進められます。
これで直木賞受賞なので、これだけ読みたくなるかもですが、前の2作に続いて読む事のが間違いなくお薦めです。
この世界感にひたりませう!
「覘き小平次 京極夏彦」
「嗤う伊右衛門」同様、元になるストーリーを江戸時代の戯作から得て、「嗤う伊右衛門」に負けず劣らずの "(横溝風に云うなら)おどろおどろしさ" 満点の作品。
巷説シリーズと同じく江戸を舞台にするも、一線を画した雰囲気を味わえます。
「蓬莱 今野敏」
コンピューターゲームソフト製作会社の代表取締役 渡瀬が新作ソフト「蓬莱」の事で身に覚えの無い脅しを受け、その開発にあたっていた大木が駅のホームから転落して死亡する。
事件かそうでないのか? その調査に訪れたのは神南署の安積警部補。
京極さんも展開していた秦氏のストーリーを今野さんが料理すると・・・
「イコン 今野敏」
謎のヴァーチャルアイドル 有森恵美(これが所謂世間で云うアイドルの女の子ではない)の周辺で起こる連続殺人事件を警視庁生活安全部少年課の宇津木と、神南署の安積警部補らが追う。
音楽業界にも携わっておられた著者のさすがな奥深さが味わえます。
「リオ 今野敏」
冒頭でいきなり登場する美し過ぎる少女リオの描写で充分に惹き付けられます。
警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補が、リオの周辺で起こる殺人事件に迫ります。
安積警部補と一味違う樋口警部補、しかし事件に向き合う姿勢はやはり真摯です。
若干安積シリーズに近い感じは拭えませんが、文章の無駄の省き具合は安積シリーズ時代からさらにパワーアップ! 一気に読めます。
「隠蔽捜査 今野敏」
警察官僚 竜崎伸也の設定は、安積や樋口からの脱却もあったのか彼らに比べるとかなり極端な性格になってますが、それが読み進むにつれ竜崎の人物を知るにつれ、非常に共感を覚える人物へ変わっていくところなど、設定の妙を感じます。
タイトル通り、ある事柄を隠蔽するか否かの選択を迫られ、また息子にも問題が生じ・・・
同じ警察ものでも主人公の立場を変える事で得た新たな境地が窺えます。
「隠蔽捜査 2」早よ読まんと!
「ビート 今野敏」
警視庁捜査二課 島崎洋平は、抜き打ち捜査の対象銀行への情報漏洩にまつわる行員殺人事件と、それに符号したよーな自分の次男の行動に悩んでいた。捜査本部で共に事件を追う事になった樋口顕は、島崎の抱える問題に徐々に気付き・・・
あまり本筋とは関係の無いよーな島崎の次男のダンスに関するストーリーでも得意の音楽ネタで飽きさせず、次男の彼女の設定でもリオに負けないよーな美しい少女を登場させるなど、あちこちに色んな魅力を鏤めているにも関わらず、そこでも無駄を感じさせない文章力はさすがです!
と、結局このお二方ばかりを取り上げちゃいました。(笑)
今年も既に2冊、去年から中途になってたものを終え、
はてさて何冊行けるか?
新しい作家さんと出会えるか?
等々楽しみっす。
でも終わって見ると、あんまり代り映えしてへんよーな気が・・・(苦笑)